Konpei’s NOTE

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【挑戦】フルマラソンを徒歩で完走する男

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皆さんはフルマラソンを走ったことはありますか?

私は中学・高校と陸上部でしたが、跳躍パートの選手だったのでそんな長距離を走ったことはありません。それ故に長距離を走り続ける体力が皆無に等しい人間なのです。10kmほど歩くのは何の抵抗もないのですが、走ると脳に酸素が届かずフラフラです。しかし、マラソンの距離を自分の脚を使って走るってどれだけ長いのだろうか。そこで、気になった私は思いついたのです。

「走るのが嫌なら歩けばいいじゃない」

これだ! 普通の人なら歩くのも憚るでしょうが、良くも悪くも旺盛な好奇心から42kmという距離を歩いて完走(完歩?)しようという狂ったチャレンジをすることになりました。全米が鼻で笑ったパッとしない一人の男の奮闘記、とくとご覧あれ。

 

目的地は貝塚

今回の徒歩マラソンを敢行するにあたり、目的地を設定する必要があります。自宅からちょうど42km(端数は省略)の地点をGoogleマップで見てみますと貝塚市の二色の浜公園。大阪湾を一望でき、淡路島や関西空港が見える景色の素晴らしい公園です。また、所要時間を見てみるとおよそ9時間。朝に出発すれば夕方に到着する計算です。タイミングが良ければ夕焼けを拝むこともできます。ただし、途中で休憩を挟んだり終盤のペースダウンを考慮するともっとかかるかもしれません。

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※自宅の場所はモザイク処理をかけています。「だいたいこの辺やで~」ということが伝われば…

なお、これまでの最長距離としては31km。大学の部活で夜通し歩き続けるというなかなかぶっ飛んだ行事の予行演習で大学のある東大阪から甲子園球場まで歩いた時です。実際に歩いてみたものの、部員たちが口をそろえて「無理」と判断したため本番の目的地はUSJに短縮されました。また、一日の最大歩数は48,791歩。学生の時に東京・横浜を観光した時、当時移動するのに路線バスを使うという概念がなく給料も今と比べて全然ない時代でしたのでとにかく歩きまくりました。桜木町から大阪行きの夜行バスに乗るのに2時間ほど時間が空いたのに店はどこも開いていなかったので、その時間ひたすら桜木町界隈を歩いていました。警察がいたら間違いなく職質案件です。

日没までに目的地へ着くことが最大の目標ですが、無理は禁物ですのでおよそ1時間ごとに5~10分の休憩を挟むことにします。正直、ペースについてはそこまで考えておりません。

 

長い長い大阪市

前置きはこの辺にして、スタートです。三連休初日の11月21日、時刻は朝8時。天気予報では晴れでしたが、雲が厚く風も吹いています。一抹の不安はありますが、楽しみな気持ちの方が大きいです。

南の方に向けて1歩ずつ歩みを進めます。第一の関門としていた淀川の風も穏やかで難なく渡ることができました。1時間が経過したので休憩、関西テレビがある扇町公園までやってきました。ここでの歩数は約7,200歩。数年前にポケモンGOが流行ったとき、私もここでポケモンを乱獲したものです。

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テンポよく進みたいので、トイレ休憩くらいに済ませて先を急ぎます。さらに南へ進みますと大川にかかる難波橋へ。大阪に住んでいても普段ほとんど通らないところなので新しい発見ができるのもウォーキングの醍醐味ですね。

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そこからしばらくは堺筋を南下します。出発から2時間を経過したところでなんば・日本橋エリアへ到達、ここも歩いて通ることはほとんどありません。黒門市場がこの辺にあるのも初めて知りました。

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さらに南下しますと通天閣が見えてきました。このあたりから天下茶屋周辺は一般的に治安が悪いと評判のこのエリアですが、変わった様子はなく無事に通過しました。数年前に職場の先輩と新世界で飲み歩きましたが、別世界に来たみたいで非常に楽しかったです(笑)

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さらに南下したところで3時間が経過。歩数は17,000歩を突破しました。ここで大阪唯一の路面電車である阪堺電車の線路と並走します。道路と線路が一緒になっており、ペーパードライバーの方にとっては屈指の難所となります。ここよりも広島や長崎、松山の方が難易度高そうですけどね。

そして、さらに南に進んだところで見えてきたのは住吉大社。最初はここで徒歩マラソンの無事を祈願しようと思いましたが、先を急ぎたいのと密を避けるのと御朱印帳を持ってきていなかったので断念することにしました。

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3時間経過してまだ大阪市内を抜けることができていません。改めて大阪市の大きさを知ることができました。通った区は東淀川、北、中央、西成、住吉、住之江といったところでしょうか。車を使えばすぐに通り抜けることができると思いますが、これを歩きで通り抜けさらに貝塚を目指そうというバカがここにいます。そんな中、ついに大和川に架かる橋らしきものが見えてきました。すなわち、大阪市を脱し堺市へ入ろうとしています。

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ようこそ堺へ!

出発からおよそ3時間50分、ついに堺市へ到達です。ここらで昼食にする頃合いでしたので、道路沿いにあったラーメン屋でお昼休憩。私が入ってから他のお客さんも増えてきたのでいいタイミングでお昼を済ませることができました。外出していっぱい歩く日はなぜかお昼のタイミングを逃して最悪飯抜きとかになることも少なくないので、このタイミングを逃していたらいろんな意味で結構しんどかったのではないかと思います。

堺市に入ったところで2つの変化に気が付きます。一つ目は「風が強まったこと」。堺に入ってからは海に近い道を歩いていくので、わずかではありますが風が強くなってきました。この日は幸運にも追い風でラッキーだったのですが、向かい風だったらタイムロスとなっていました。向かい風じゃなくて本当に良かったです。そして2つ目の変化ですが、「一丁目、二丁目ではなく一丁、二丁と読む」ところです。心底どうでもいいと感じる方が多いとは思いますが、「大阪難読地名制覇の旅」という企画をやっている手前、どうしても気になってしまいました。この時はもちろん調べる気力はなかったのでまた暇なときに調べてみようと思います。

 

はじまった失速、疲労との闘い

途中の浜寺公園で休憩を挟みつつ、出発から6時間が経とうとするところで高石市へ突入。歩数は3万歩を超えてきました。

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ここで両足が悲鳴を上げ始めます。コンクリートの上を歩く負担は相当なもので、乳酸が溜まって太ももがパンパン。両足首もかなりのダメージを受けているようでした。しかし、日没までの到着を目指し気合で歩みを進めます。先ほど風の強さについてお話ししましたが、道路標識の青い看板が風に煽られているではありませんか。これが落ちてきたら車なんて真っ二つなんじゃないか。そんなことを考えながら恐る恐る歩きました。そんなわけありませんが。

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時刻は15時。忠岡町に入るところで左の太ももが今にも攣りそうな状態に。高校時代は「フィッシャーマン」と呼ばれるくらいに脚をつりやすい体質だった私。いらぬ力を使わないよう、今まで以上に気を付けてスピードを落とします。ですが不思議なことに歩いている間はそこまで気にならないのです。これがアドレナリンですか。忠岡町は小さな町なのですぐに抜け、ようやくだんじりの町岸和田市へ。紀州街道沿いの古い町並みを横目に前進を続けます。そんな中、時刻は16時を過ぎておりました。日も傾き気温が下がってきました。潮風がもろに当たらないのが幸いしてかろうじて体力は温存できているようですが、脚は限界寸前です。

 

感動のゴール!

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いよいよラストスパート。知らぬ間に貝塚市に入り、ゴールの二色の浜公園はもう目の前。街路樹も色づき始めています。そういえば去年のちょうどこの時期も紅葉を求めてひたすら歩いていたなあとふと思い出しました。

【過酷】香嵐渓へ紅葉を見に行った話+α - Konpei’s NOTE

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武道館からサライが流れるわけでもなく、沿道の観衆が応援してくれるわけでもありませんがもう必死でした。最後の気力を振り絞り二色の浜公園に入ります。そして、16時55分ごろ、ついにゴール!!!!

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ここで私を出迎えるかのように大阪湾の夕焼けが見えてきました。こんなにきれいな夕焼けを見たのはいつぶりだろう。今風の言葉を使うとするならば「エモい」という言葉がぴったりです。関空や淡路島、さらには明石海峡大橋もきれいに見えました。

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しかしながら、疲労が感動を大きく上回ったためか涙は一滴も出ませんでした。涙腺の強さに定評があるせいでしょうか。年を取るにつれ涙腺ってもろくなるものらしいですが。自慢にも何にもなりませんが、思い返すとかれこれ7年くらい泣いてませんかね。さすがにもうこれ以上は歩けない。夕日を眺めた後、すぐに最寄り駅に向かいます。何で行くの? 悲しいかな、残念ながら徒歩です。

ここからが地獄でした。二色の浜公園は最寄駅である南海二色浜駅から歩いて15分ほどの場所で、普段の私なら余裕で歩くのですが42km歩いてきた体には流石に堪え、20分ほどかかりました。駅に着いたと思ったら改札に入った瞬間に電車が来て、脚を引きずりながら走って電車に乗り込みました。「もうやめてくれ、こちとら走る気力も残ってねえんだよ!」と心の中で叫ぶ私でした。

 

42kmを歩いた感想

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ラソンランナーの皆さん、これだけ言わせてください。あ、褒め言葉として捉えてくださいね…?

「おまえら人間じゃねえ!!!」

この一言に尽きます。しかし、42kmという距離は想像以上にきつかったです。30km手前くらいまでは全然余裕だったのですが、それを超えると脚が悲鳴を上げます。太もも、足首、足の裏… 常人だと歩くだけでも精一杯です。これを2時間ちょいで走るマラソンランナーの方はもう人間辞めてますよね。

それにしても、普段歩かない場所を歩けたのはとても楽しかったですし、新しい発見もありました。電車や車の車窓では見られないものをたくさん見ることができてものすごく新鮮でした。もう40kmなんて距離を歩くことは当分ないでしょうが、他の場所でもやってみたいものです。今度はどこを目指そうかな。

ということで、フルマラソン(と同じくらい)の距離を歩いた話でした。これから「マラソン走りたい」とお考えの方、参考にしてみてください(笑)