Konpei’s NOTE

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【はよ終われ】大阪難読地名制覇の旅 Part.5

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前回:【チャリで来た】大阪難読地名の旅 Part.4 - Konpei’s NOTE

本音が出てしまったがタイトルの通りだ。正直な話、この企画は早いとこ決着をつけたい。行くのも体力がいるし、それ以上に記事の執筆や由来の調査に時間を要する。しかし、やると決めた以上は最後までやり切らないといけない。実際、訪問を予定している難読地名の数はとうに半分を切っているし、ここで諦めたら企画は成立しない。それにしても、大阪には難読地名が多すぎる。長くても半年程度で終わると思っていたが、度重なる感染拡大に振り回される上にアクセスに苦労する場所も多いため思うように動くことができない。文句が多くなったが、そろそろ始めさせていただこう。

<目次>

 

34.三栗(2021.2.6訪問)

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  • 所在地:枚方市
  • 読み方:めぐり
  • 到達難易度:★★☆☆☆
  • 初見殺し度:★★★☆☆

京阪電車御殿山駅牧野駅の間にまたがるのが「三栗」。この二駅の間を歩いてみたが、周辺には住宅地や団地が広がっていた。歩いてみると駅間はそれなりに長く、30分ほどかかった。この周辺に住んでいる方には大変申し訳ないのだが、特筆すべき名所もないごく普通の住宅街であった。

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この地名の由来に関しては明らかとなっていないが、元々は「みぐり」という読み方だったのが転じて「めぐり」になったという説がある。「三栗」という単語自体は「日本書紀」に登場しているそうで、ここでの読みは「みつくり」となっている。

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35.招提元町(2021.2.6訪問)

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  • 所在地:枚方市
  • 読み方:しょうだいもとまち
  • 到達難易度:★★★☆☆
  • 初見殺し度:★★★☆☆

京阪牧野駅からバスでおよそ10分の場所にあるのがここ「招提元町」。「寺院」を意味する「招提」が地名の由来となっている。京阪バスの停留所でも同名のものがあるのだが、不思議なことにこちらの読み方は「しょだいもとまち」である。

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また、頭に「招提」の名が付いた町はこの周りに多く存在し、これらの町は元々「招提村」という一つの村だった。招提元町には「敬応寺」という寺があるのだが、元々浄土真宗の「招提道場」というところだった。ここを中心に人が集まって形成されたのが現在の「招提」地区となっているそうだ。

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36.私市(2021.2.6訪問)

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  • 所在地:交野市
  • 読み方:きさいち
  • 到達難易度:★★★☆☆
  • 初見殺し度:★★★★☆

京阪交野線の終着駅の名前になっているのがここ「私市」。周辺は大阪らしからぬ緑の多い地域であり、南へ行くと大吊橋「星のブランコ」で有名な「ほしだ園地」に、南東方向へ行くと「くろんど園地」にたどり着く。いずれも「府民の森」としての役割を担っており、行楽シーズンにはハイキング客でにぎわう。

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由来に関してはこれまた日本書紀に記述があるのだが、天皇の后に関する用事を行う役所を「私府(きさふ)」、后のために農耕をした人を「私部(きさべ)」と称した。この地域一帯は推古天皇の代から皇室領であったことから「部民(べのたみ)」と呼ばれ、現在の私市地区は部民の中でも中心であったことから「私部内(きさべのうち)」と名付けられた。そこから訛って「私市」と名付けられたそうだ。ちなみに、くろんど園地の地名は「私部」となっている。

また、この時くろんど園地方面に向かって歩いてみた。家々が立ち並ぶ道を20分ほど歩くと「月の輪滝」という小さな滝にたどり着いた。近くには閉店したお土産屋と思われる建物があり、かつて賑わいを見せていたような形跡が見られるが現在は草木の生い茂った荒れ地のような状態となっている。

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37.御供田(2021.2.7訪問)

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  • 所在地:大東市
  • 読み方:ごくでん
  • 到達難易度:★★☆☆☆
  • 初見殺し度:★★★★☆

前述の3か所を訪問した翌日、次の難読地名を回収すべく大東へ向かった。大東は意外にも難読地名激戦区であり、このシリーズで4か所登場する。以前紹介した「住道」と「深野」も大東市にある。

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場所はJR住道駅から東へ15~20分ほど歩いたところにあり、近くには恩智川という川が流れる。住宅が立ち並ぶ中、「御供田公園」という比較的大きな公園があり近隣住民憩いの場?となっている。「○○緑地」レベルの大きさではないものの、野球ができそうなスペースもあるので公園にしては大きい方だろう。

地名としての「御供田」の由来は明らかとなっていないようだが、名字でも存在するのでそちらの由来を説明しよう。元々は鹿児島県日置市に存在した「御供田門」からきているそう。また、石川県金沢市にも「御供田町」という地名が存在している。「御供」というのは仏前や神前に供えるお供え物を指す言葉である。

 

38.中垣内(2021.2.7訪問)

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  • 所在地:大東市
  • 読み方:なかがいと
  • 到達難易度:★★★☆☆
  • 初見殺し度:★★★★☆

続いて「御供田」からさらに東の方向にある「中垣内」。東の方角に目をやると生駒の山々が目前に迫っており、阪奈道路沿いの廃墟と化した旅館?もはっきりと見える。大阪産業大学やその付属校で高校野球吹奏楽の名門として知られる大阪桐蔭高校もここ中垣内に位置する。

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「垣内」という単語は垣根に囲まれた武家屋敷を意味する言葉であり、「かいと」と読むのは近畿地方特有の言い回しなのだそう。ちなみに、近畿での「垣内」は他の地方では「堀の内」に相当するとされている。

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39.深日(2021.2.13訪問)

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  • 所在地:泉南郡岬町
  • 読み方:ふけ
  • 到達難易度:★★★☆☆
  • 初見殺し度:★★★★★

大阪府最南端の自治体である岬町に位置するのが「深日」。探せど探せど町名表示板が見つからなかったので交差点の看板でご辛抱いただきたい。近くにある深日港はかつて淡路島や徳島へ向かうフェリーが発着していたこともあって賑わっていたそうだが、現在では定期旅客航路ゼロとなっている。一方で、2017年から船旅活性化を目指す社会実験として淡路島の洲本までを結ぶ航路が期間限定で運行されていた。2020年度も実施する予定であったが、コロナ禍の影響により取りやめとなっている。このように現在フェリー発着場としての役割はほぼないに等しいが、休日には多くの釣り客でにぎわっている。訪問した日も快晴で釣り日和だったので多くの釣り人が釣竿を海に垂らして獲物がかかるのを待っていた。

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深日港周辺は万葉集の時代から歌枕として有名な景勝地であり、「吹飯浦(ふけいのうら)」と呼ばれていた。「ふけい」が訛って今の読み方になったのだそう。また、「深日」の字は奈良時代に記された文書に残っているとのことで、非常に歴史のある地名だそうだ。

地名とは関係のない話だが、この地域では「逆さ言葉」で会話する文化があるようで、漁師が「今日は(釣果が)あかんかったわ」と言えば実際は大漁などといった具合にわざと事実と反対のことを口にするのだそう。

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39.近木町(2021.2.13訪問)

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  • 所在地:貝塚市
  • 読み方:こぎちょう
  • 到達難易度:★★☆☆☆
  • 初見殺し度:★★★☆☆

深日から電車でおよそ40分、南海と水間鉄道貝塚駅の真ん前にある近木町。この近木町の象徴と言えるのが「貝塚中央商店街」。テレビでよく見るような昔ながらの小さなお店が数多く立ち並び、下町情緒を感じることができる。ちなみに、前述した水間鉄道の本社もここ近木町に存在している。外から見たところ、かなり小規模なオフィスだった。鉄道会社のオフィスと言えば大きなビルを構えているイメージがあるのでこれは意外だった。

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貝塚市には「近木川」という川が流れているのだが、そこに関係のある地名であると考えられる。この「近木川」の由来としては、「和泉国日根郡近義郷」という集落に存在したことから名づけられたものとされている。ちなみに、水間鉄道の駅に「近義の里」という駅があるのだが、ここの地名は「石才」である。

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40.包近町(2021.2.13訪問)

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  • 所在地:岸和田市
  • 読み方:かねちかちょう
  • 到達難易度:★★★☆☆
  • 初見殺し度:★★★★☆

こちらも町名表示板がなかったので交差点の看板でご辛抱いただきたい。字が違うものの「お笑い第7世代感がある地名やなあ」と思った。それはさておき、ここへ向かうには岸和田駅から牛滝山行きのバスに乗車する。30分ほどで包近町に到着、付近には「包近公園」という大きめの公園があり、季節ごとに様々な花が咲いてきれいなのだそう。また、ここ包近町は大阪府内でも屈指の桃の名産地とのこと。大阪で桃を栽培していること自体知らなかったのだが、糖度20度を超える美味な桃のようだ。

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かつて国司が地方政治を行う際に役所が置かれた区画である国衙に充てる費用として設けられた名田で、「包近名」がその由来なのだそう。日本史の単語はわかっても仕組みそのものを説明するのは非常に難しい。また、包近町に隣接する地名も難読で「山直」とかいて「やまだい」と読む。

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毎回文字数が多くなるこの企画だが、今回は比較的コンパクトにまとまったと思う。そして、残す難読地名はついに10を切った。次回がおそらく最終回になると思うが、訪問のめどが全く立っていない。夏に入るまでに終わらせたいが果たしてどうなるのか。「はよ終われ」と思う反面、終わりが近づくとなると寂しさもある。最後まで決して手を抜くことなく、噛みしめながらやっていきたい。では、またお会いしましょう。ごきげんよう

 

【参考としたサイト等】

枚方つーしん -枚方市の雑談ネタをもりもりと!

大阪府/私市のまちなみ(交野市)

名字の由来、語源、分布 - 日本姓氏語源辞典・人名力

深日町 | 南海100駅自慢|南海電鉄

大阪・岬町 港町で謎の会話 「おっきい」は「ちっさい」!?(とことんサーチ): 日本経済新聞

第23号 近木川/貝塚市

岸和田のむかし話8 地名などにかかわる伝承 - 岸和田市公式ウェブサイト