Konpei’s NOTE

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【GoTo静岡の旅】Part.2 大井川鐵道で秘境を行く!

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前回は静岡遠征初日。掛川の城下町を散策し天竜浜名湖鉄道でちょっとしたローカル線の旅を楽しみ、ラーメンと餃子を食べたところで終了。今回はこの遠征のメイン、大井川鐵道に乗車します。

【GoTo静岡の旅】Part.1 城下町とローカル線 - Konpei’s NOTE

<目次>

 

気分は遠足に行く小学生!?

旅というものは疲れるもので、普通であればベッドに入れば比較的すぐに眠りにつくことができます。しかしこの日は遠足前日の小学生にでもなったのか全く眠れず。寝ていたとは思いますが、寝た感じが皆無なのです。目をつむっているのに意識が遠のかないというアレです。旅先でこんな目に遭ったのはおそらく初めてです。

そして翌朝、眠れなかったわりに目覚めは意外とすっきり。ホテルにはバイキング会場がなかったため、朝食は前日にコンビニで買ったパンなどで済ませました。大井川鐵道の始発駅、金谷駅へは掛川からわずか2駅ですが駅間が長いため15分ほどかかります。JR金谷駅を出て右側に大井川鐵道金谷駅があります。こちらも天竜浜名湖鉄道掛川駅と同様、始発駅なのに駅感がありません。

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ここで、大井川鐵道の概要を。金谷から千頭までの大井川本線と、千頭から井川までの井川線と2つの路線に分かれます。大井川本線は普通の列車が走っていますが、井川線は日本唯一のアプト式列車」が走ります。「アプト式列車」とは、急こう配を上るため車体の下に歯車が付いた列車のこと。この歯車と線路の真ん中に敷かれた歯形のレール(ラックレール)をかみ合わせて坂道を上り下りします。井川線アプトいちしろ駅長島ダム駅の間で採用されています。

そして、窓口で金谷から井川までの全線と路線バスの一部区間で使用可能な「奥大井周遊きっぷ」を購入。普段は4,980円のところ、キャンペーン価格ということで(ほぼ)50%オフの2,450円。金谷から井川までの運賃が3,180円ですから、往復すればキャンペーンがなくても元が取れてしまう悪魔的乗車券でございます。このほか、A3サイズの沿線ガイドやノベルティのマスクケースまで頂いちゃいました。至れり尽くせりとはまさにこのことか。

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まるで「大井川再生工場」!?

乗車券を買った後、JRの乗り換え口からハイキングに行かれる方々とみられる集団がやって来ました。その後も観光客の方々がぞろぞろとホームに集まります。窓口には3人ほどしか駅員さんがいらっしゃらなかったのですが、素早く丁寧に対応します。

そして出発時刻になりました。やってきた列車はいかにも年季が入っているであろう車両、写真やらで見覚えがあるのですが初めて乗車する車両であることは間違いありません。

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調べてみますと、かつて南海電車の急行・特急で使用された21000系。製造年は驚愕の1958年。なんと62年選手です。難波から高野山を結ぶ高野線で使用されていた車両とのことで、急こう配を上る車両という共通点から大井川鐵道に譲られたのでしょう。このほか、近鉄特急で活躍していた16000系や東急や青森の十和田電鉄で走っていた7200系も活躍中です。さらに、現在は引退済みですが京阪電車で「テレビカー」として活躍した3000系も走っていました。

大井川鐵道はSLが有名ですが、このように他社で役目を終えた車両を再利用することで有名です。最近は南海で走っていた車両が新たに導入予定ということで、「大井川再生工場」(勝手に命名)の今後に注目です。

21000系の車内を撮影したいところでしたが、たくさんの方が乗車されていたため控えました。座席は赤いモケットに転換クロスシート、座面が意外に低く沈み込む感じがしました。60年以上使われている車両ですが、乗り心地は悪くありません。

金谷から一駅の新金谷駅では「きかんしゃトーマス」のキャラクターを模したSL機関車が止まっていました。これ目当ての家族連れの方も多くいらっしゃいました。新金谷を過ぎると車窓からは静岡を象徴する茶畑、大井川の清流を眺めることができます。あいにくの天候ですが、茶畑はいつ見てもきれいな緑色してますね。

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日本唯一のアプト式列車に乗車

金谷駅から1時間10分ちょいで終点の千頭駅に到着しました。この先の井川線は線路の形状が変わるため、乗り換えが必要です。ここにもトーマスのキャラクターが並びます。

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井川線への乗り換え口では駅員さんが検温を実施しています。検温をパスできれば黄色い紙のリストバンドが渡されるのでそれを見える場所に着用します。井川線の車両は大井川本線の車両と比べて小型ですが、その分両数が長くなります。1両につき32人乗車可能ということで、小ささのわりにキャパシティはそれなりにあります。体感としては遊園地にあるミニSLとかその辺の乗り物に乗っている感覚です。

ここからの井川線南アルプスあぷとラインの愛称が付けられており、元々は大井川水系のダム建設での資材運搬用のトロッコとして作られました。それを奥大井エリアの観光列車として転用したという経緯があります。

千頭駅を出た列車は大井川上流に向けてゆっくりと進んでいきます。カーブが多い路線なのですが、カーブを曲がるときは特に「ギギギ~」とけたたましく音を立てて曲がっていきます。都会の列車でここまで音を立てる列車は現代ではそうそうないでしょう。だだし、この列車だとその音さえも楽しむことができてしまいます。

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井川線の駅は今までの駅よりも「秘境色」マシマシといった感じで、ホームすらない駅もあります。これを見たときは流石の私も度肝を抜かされました。改札がないならまだしも、ホームもないし駅名標を立てただけといった構造です。日本にはまだまだ知らない光景があるもんですね。非日常の景色に驚く間もなく列車はアプトいちしろ駅に着きました。ここでアプト式機関車を連結し、急斜面を上っていきます。機関車の側面にはアプト式機関車を表す歯車と歯形のレールのイラストが描かれています。

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ここから長島ダム駅まで1区間のみですがこのアプト式機関車が引っ張っていきます。カーブを曲がるときのきしむ音に加え、歯車とレールの噛み合う音も聞こえます。列車に乗っているときは大したことはないのですが、外から見ると相当な傾斜があります。

アプト式と言えば、かつては群馬県碓氷峠を鉄道で超える際にも使われていました。1963年にアプト式碓氷峠から姿を消しましたが、その後も碓氷峠の急こう配を上り下りするために電気機関車を連結しての上り下りが必須となりました。現在は北陸新幹線の開業に伴い、この区間は廃止され遊歩道として活用されています。一度行ってみたいものです。

 

秘境は続くよどこまでも

急こう配を上ると行ったことがないですがマチュピチュに近い雰囲気の建造物が見えてきました。駅名にもなっている長島ダムです。完成は2002年と比較的新しいダムとのことです。ここで機関車の切り離しを行います。千頭方面へ向かう対向列車もここで機関車の連結を行います。

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列車はかなり奥まったところまで上ってきたようです。川の色も濃い目のエメラルドグリーンに変わってきました。ここで大井川鐵道を代表する名所の一つ、「レインボーブリッジ」を渡ります。高いところから眺めるこの橋は絶景とのことなので、あとで寄ってみようかと思います。

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先ほどお話しした駅のお話ですが、井川線の駅はこのような所ばかりです。下の尾盛駅はホームがある分まだ中規模の駅といったところでしょうか。

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千頭駅から1時間と40分ほどしてようやく終点の井川駅に到着。金谷駅からは3時間が過ぎていました。これだけ内容盛りだくさんの鉄道路線は後にも先にもこれが初めてになるのではないでしょうか。

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井川駅を出て5分ほどでまたダムが見えてきました。中部電力管轄の井川ダムです。近くには「井川展示館」という博物館もあります。トイレ休憩だけの使用にとどまりましたが…

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トイレ休憩もそこそこに井川駅にとんぼ返りします。この後はレインボーブリッジの絶景を見るために奥大井湖上駅に向かいます。

 

山奥の「レインボーブリッジ」

井川駅に戻り、乗ってきた電車の折り返しに乗って千頭方面へ。30分ほどで奥大井湖上駅に着きました。大井川鐵道を代表する駅ということでホーム上には十数人の人がいました。どうやら「恋人の聖地」としての役割も担っているのかハート形のベンチが置かれています。さらに、タバコに見せかけた静岡茶「Chabacco」の自販機もあります。お値段は600円と本物のタバコよりも高級品です。お金を入れてボタンを押すまでは普通の自販機と同じですが、この自販機ではSLの写真の上にあるつまみを引っ張らないと商品が出てこない仕組みになっています。

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さらに、「中部の駅100選」にも選出されたようです。これで入っていなければ中部地方の駅どんだけレベル高いんだってなりますね…

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駅のすぐ近くには小さなカフェもあり、軽食を頂くこともできます。ここで昼食にすればよかったのですが、早くレインボーブリッジの絶景を見たかったせいかスルーしてしまいます。最終的な話、この日は昼食なしに終わりました(´;ω;`)

絶景ポイントを目指して山道をずんずん進んでいきます。ここで思わぬ遭遇が。しばらく進んで10メートルほど前方に待ち構えていたのは野生の猿。このまま前進を続けると身ぐるみ剝がされかねません。しかし大事なのは自分の体、そりゃねえぜと泣く泣く引き返します。と思いきや逆に進んでいたことが判明、正しいルートを進みます。歩くこと20分ぐらいでしょうか、ようやく絶景ポイントへたどり着きます!

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素晴らしいの一言です。コロナ禍で大変な年にこんな景色を見られるなんて。来てよかった、静岡。乗ってよかった、大井川鐵道。東京のレインボーブリッジは封鎖できないというけれど、こっちのレインボーブリッジは封鎖して独り占めしたい…

なんかポエム調になってしまいましたがとにかく綺麗でした。私の他にも何人かの観光客の方がいらっしゃいましたが、口をそろえて「きれい」「すごい」とおっしゃっていました。大井川鐵道を語るうえで不可欠なスポットです。少し山道を歩きますが安いもんだと思います。

 

謎の大吊り橋を発見!

次の電車まで1時間以上あるので、奥大井湖上駅からひとつ前の接岨峡温泉駅まで歩いて行きたいと思います。駅間は約2キロほど離れています。

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山道を歩いていると大きな橋が見えてきました。小さなころから橋好きなこの私、行かないはずがございません。この橋は南アルプス接岨大吊橋」、後から調べてびっくりしましたがあのGoogleマップにも反映されていない「謎の橋」です。橋の名前自体は出てきますが、橋にあるはずの川を架ける道は見当たりません。

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ここを渡るとハイキングコースに出ることができるそうで、「八橋小道」という道を歩くことができます。その名の通り、八つの小さな橋を渡るハイキングコースになっています。「吊橋」と聞くとグラグラするイメージがありますが、ここは比較的しっかりしているので安心して渡ることができます。

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 ここからさらに歩きますと、目的地の接岨峡温泉駅が見えてきました。駅前には「森林露天風呂」という小さな温泉施設のほか、川根本町資料館「やまびこ」もあります。いずれも時間がなく行くことができなかったのが残念です。森林露天風呂でひとっ風呂浴びることができていたら最高だったでしょうねえ。

 

来た道をひたすら下る

さて、秘境での時間も終わりに近づいてきました。接岨峡温泉の駅からは電車に乗り来た道を逆戻りです。かなりの山奥に感じますが、これでも海抜496メートルだそうです。あれだけの山道を上ってきたのだからもっとあると思っていました。

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余談ですが、「標高」と「海抜」の違いをご存じでしょうか。ほぼ同じ意味ですが、「標高」は東京湾を基準とした土地の高さ、「海抜」は近傍の海からの土地の高さを表しています。ここではおそらく駿河湾あたりを基準にしていますから「海抜」という表現が使われます。

名残惜しいですが、千頭方面に戻ります。行きが「登山列車」ならば帰りは「下山列車」というべきでしょうか。風景も行きに見たものとほぼ変わりませんが、雨が止み日差しも顔を出しつつあるというのが行きと違ったところです。前夜眠れなかった影響か車内では爆睡でした。「寝る」というよりは「気を失う」といった方が適切かもしれません。

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そして約6時間ぶりに千頭駅に戻ります。半分の方は改札を出て、半分の方は大井川本線に乗り換えました。私は大井川本線金谷駅に戻ります。ここからさらに1時間ちょい列車に揺られます。乗車するのは行きと同じ21000系ですが、ヘッドマークが行きの列車と違います。

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列車は遅れもなく終点の金谷駅に到着。すでに18時を過ぎており、山の麓だからか肌寒さを感じます。白の長袖Tシャツでは寒すぎました。

金谷からは東海道本線に乗り換え、宿がある藤枝へ。夕食を食べ、ホテルにチェックインしてからはハイボール片手に半沢直樹を見て就寝しました。もちろん、この日は目を閉じた瞬間眠ることができました(笑)

 

さて次回ですが、かの有名な「三保の松原」に行きます。さらに、あるアニメの聖地として町おこしに成功したあの町にもいきます。

このGoTo静岡シリーズ、次回は来年になると思います。ただ、別の記事は更新する予定ですのでどうぞお楽しみに。では、みなさんごきげんよう!!

次回:【GoTo静岡の旅】Part.3 出でよ富士山! - Konpei’s NOTE