【久方ぶり】大阪難読地名の旅 Part.2
「お待たせしました。お待たせしすぎたのかもしれません」と言わせていただいてもよろしいでしょうか。約3ヶ月ぶりに「難読地名の旅」をやっていきたいと思います。前回は大阪市西淀川区御幣島(みてじま)で終了し、今回はルーレットで止まった羽曳野市誉田からのスタートです。
↓前回のリンクを貼っておきます。こちらも是非ご覧ください。
【新企画?】大阪難読地名制覇の旅 - Konpei’s NOTE
④誉田(2020.7.26訪問)
長かった今年の梅雨。そんな梅雨末期の土砂降りの中行ったのが羽曳野市の誉田です。場所としては近鉄南大阪線の古市駅から歩いて10分ほどの場所にあります。
地図で見てみますと、なんと飛び地になっています。街にある方と街の外れにある方とありますが、今回行ったのは当然左上の街にある方です。付近には「誉田御廟山古墳」という史跡があり、応神天皇の陵として外壕と外堤が国の史跡に指定されています。数年前にここを含む「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産に登録されたので、これから注目を集めることが期待されます。
さて、地名の由来を解説します。御廟山古墳の近くにある「誉田八幡宮」という神社からきているそうです。先ほど出てきた応神天皇が祀られている神社ですが、彼は「誉田天皇」「誉田別尊(ほむたわけのみこと)」として日本書紀に登場しています。その関係で名付けられたと考えられますが、「こんだ」と読むようになった経緯など詳しいことはわかっていないそうです。余談ですが、「誉田」と書いて「ほんだ」と読む街が千葉にあるとのことです。
ここで、次の目的地を決めるためルーレットを回します。
次なる目的地は南面利町ですが、ここで小休止。2ヶ月ものブランクを空けてしまうことになります。理由としては今年の夏がとにかく暑かったこと、この旅はかなりの歩数を費やすので熱中症のリスクが半端なく高いのです。
⑤柴島(2020.9.26訪問)
さて、ルーレットで出た南面利町に向かう前に立ち寄りです。ここ「柴島」ですが阪急千里線の駅名にもなってますので大阪の方は読めるかと思いますが、府外の方ならほとんどが「しばじま?」と読んでしまうのではないでしょうか。
現在、柴島近辺では阪急の高架化工事が進められていますがなかなか進んでいるように見えません。この2年ほどでそれなりに形ができてきた感はありますが完成はまだまだ先だそうです。
「柴島」は平安時代からの地名で、「クニキ島」と呼ばれておりました。「クニキ」というのは炭の原料となる雑木のことですが、音が近い「此の木」を一文字にした「柴」の字を当て、やがて「キ」が省略されて「クニ(キ)ジマ」と読むようになったそうです。私のミジンコ以下の脳みそではこんなこと考えられないです(笑)
⑥南面利町(2020.9.26訪問)
南海・近鉄の河内長野駅からバスに揺られることおよそ20分のところにある「南面利町」。付近には関西サイクルスポーツセンターや1300年の歴史がある天野山金剛寺があります。山に近く、大阪にしては珍しい長閑な町です。
駅からかなり離れているため、車かバスが必須となります。南面利町へ向かうバスは1時間に一本程度なので行く際は注意が時刻表を要チェックです。
周囲は住宅などが並んでいる非常に静かな場所ですが、山に向かって歩いていくと森が見えてきます。
都会っ子の私としては馴染みの少ない立て看板です。イノシシが出るようで流石にこの先へ進む勇気はありませんでした。関係ないですが、最近の子供たち(特に都会育ちの)ってイノシシと聞いたらやっぱり鬼滅の刃の伊之助を思い浮かべるんですかね。
「南面利」は「南面流」とも表記されるようで、岩床の丘を流れる地形に由来する説があるようですが、残念ながらそれ以上の情報は入手できませんでした。
⑦茱萸木(2020.9.26訪問)
漢検一級ぐらいの方でないと読めないであろう漢字を使った地名です。看板にはご丁寧にふりがなまで振ってくれています。最寄駅は南海高野線の金剛駅か滝谷駅です。私は滝谷駅で下車しましたが、徒歩10分ほどかかります。
北には日本最古のダム式ため池とされる狭山池、南にはマグロ大学でお馴染み近畿大学の医学部附属病院が隣接しており南北に長い町であることがわかります。狭山池は今年2月の連休にサイクリングしに行きました。
「茱萸」という漢字は本来「ぐみ」と読みますが、地名の方は濁らず「くみ」です。1263年の「太政官符」(国の公文書)に記載してあった地名が「佐志久美岡(さしくみのおか)」で、そこから転じて現在の地名になったそうです。
⑧中百舌鳥町(2020.9.26訪問)
地下鉄御堂筋線の終点としても知られる「なかもず」がある中百舌鳥町です。地下鉄の駅名はひらがなですが、南海高野線及び泉北高速の駅名は漢字の「中百舌鳥」です。
由来を調べてみますと、少しグロテスクな逸話がありました。同じ堺市にある日本最大の古墳、大仙古墳に埋葬された仁徳天皇の時代まで話は遡ります。ある日、仁徳天皇が陵の造営場所を決めて工事を始めると、鹿が姿を現し倒れてしまいます。鹿はそのまま息耐えてしまい、死因を調べたところ耳から入った百舌鳥(もず)が鹿の脳を食い荒らしていたということで「百舌鳥耳原」と呼ばれるようになったことからこの地名が付いたのだそうです。恐ろしいですなあ。
ここで、河内エリアの難読地名をある程度回収できたので次なる目的地を再度ルーレットで決めます。何が出るかな、何が出るかな〜
出たのは「別府」。ですが「べっぷ」とは読みませんし、温泉地でもありません。この日5カ所目で疲れが出てきましたが張り切っていきましょう。
⑨別府(2020.9.26訪問)
最寄駅は地下鉄今里筋線の井高野駅ですが、こちらよりも大阪シティバスや近鉄バスの停留所があるのでそちらの方が近いと思われます。読み方的にバック・トゥ・ザ・フューチャーに出てくる不良の名前に似ていますが、彼とは一切関係ありません。また、近隣には「東別府」「南別府町」という町もあります。
どうやら「別府」と書いて「べふ」と読むところは大阪以外にも多数存在するようで、その数46。対して、「べっぷ」と読むのは29カ所。他にも「びょう」「びゅう」と読む地域も存在するようです。こっちの方が難読なのでは。
地名の由来ですが、ネットで調べても大分県の別府の方の由来しか出てきませんでしたのでそちらを説明します。その昔存在した荘園の租税を特別扱いにすることを表す「別府」からきているそうです。大分県の別府は宇佐八幡宮の荘園である石垣荘があり、鎌倉時代に豊後国の国司が「別符」と名付けたことから始まり、そこから「符」が「府」に変わって地名として残ったとされています。おそらくそれがなまることで「べふ」という地名もできたんでしょうか。
この時の私、調子に乗ってもう一カ所行きました。どこが出るのか。ルーレット、スタート!
10.水走(2020.9.26訪問)
方角的にほぼ逆戻りする形となりました。やってきたのは生駒山の麓にある町、水走です。近鉄けいはんな線の吉田駅が最寄りとなります。
阪神高速のインターチェンジに「水走」というところがあり、ラジオの渋滞情報でよく耳にするイメージです。しょっちゅう混んでいるみたいです。
かつて、河内国の一部で勢力を伸ばした「水走氏」という豪族が存在していたことがこの地名の由来だそうです。この水走氏ですが、同じ東大阪市にある枚岡神社(ひらおかじんじゃ)主神の天児屋根命(あまのこやねのみこと)を祖とする平岡氏の末裔にあたるそうです。
ということで、一気に7カ所も回収しちゃいました。めっちゃ疲れました。しかしさらなる難読地名が待ち構えていますので、ここで音をあげちゃいけませんね。
さて、次回に向けてルーレットを回して終わりましょうか!
では、次回は「安立」からスタート。お楽しみに!!
【管理人からの注意】
プライバシー等の観点から地名表示板を撮影する際、一般のご家庭の外壁にかけてあるものに関しては極力撮影を避け、電柱などに掲示しているものを撮影するようにしています。撮影する際は周囲へのご配慮をお願いします。
【参考にしたサイト】
大阪水道の歴史と柴島(くにじま)の由来 - 大阪府保険医協会
http://osakasayama-sc.jp/matidaifuzii.pdf
大阪には難読地名がなぜ多い?その歴史と由来とは | 住まいの本当と今を伝える情報サイト【LIFULL HOME'S PRESS】